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クリス・ケルナーに学んだ「何もないところから利益を生む」思考法

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「副業 おすすめ」「スモールビジネス 始め方」で検索すると、ウェブライティングやせどり、アフィリエイトといった在宅ワークばかりが目につく。どれも間違いではないが、すでに多くの人が参入している市場だ。

そんななか、僕はあるアメリカ人起業家の動画に出会い、考え方が根本から変わった。名前はクリス・ケルナー(Chris Koerner) 。75以上のビジネスを立ち上げてきた連続起業家で、どの事業も「資金ゼロ、特別なスキルなし」から始めているという。

僕がこの動画から学んだのは、単なる「儲かるアイデア集」ではない。「これは日本では無理だ」と諦める前に、思考の階層を一つ上げて別の道を見つける技術だ。以下、自分の言葉でその学びをまとめてみる。

第1章:クリス・ケルナーという男の原点

Chrisの話で最初に心を打たれたのは、彼の原体験だ。

19歳のとき、彼は単身ハンガリーに渡り、モルモン教の伝道師として2年間を過ごした。見知らぬ異国で、一日中ドアをノックし、住民に直接話を聞いてもらう日々。彼が自分で数えた累計の拒絶回数は、24,000回に及ぶという。

「顔の前でドアを閉められる経験を2万回以上繰り返すと、恥ずかしいとか、断られるのが怖いとか、そういう感覚が完全に消える」

この言葉に、僕は深く納得した。彼の桁外れの行動力は、生まれつきの才能ではなく、極限まで「NO」を浴びた結果、後天的に獲得した「鈍感力」 なのだ。

目次

第2章:Chrisが編み出した「何もないところから始める」3つの考え方

75以上のビジネスを立ち上げるなかで、Chrisは再現性の高い思考パターンを言語化している。僕が特に重要だと思ったのは、次の3つだ。

考え方①:「お金がない」は「知恵を絞れ」のサイン

Chrisはこう言う。「プライドと無一文は両立しない」。

資金がないなら、自分ですべてを「所有」しようとするな。すでに持っている人と組め。これが彼の基本姿勢だ。

たとえば彼は、樹木伐採ビジネスを始めるとき、チェーンソーすら買わなかった。代わりに、すでに機材を持つ職人を探し、「仕事を回すから、見積もりの2倍で請求していい。差額はこちらの取り分だ」と提案した。つまり、自分は営業と集客だけを担当し、実作業はすべて外注するというモデルだ。このやり方で、開業資金ほぼゼロから年商7,500万円規模まで育てている。

考え方②:「終わったかどうかが誰の目にも明らかな仕事」を選ぶ

Chrisは「結果がグレーゾーンになる仕事は、初心者の心を折る」と断言する。

たとえば、注文住宅建築やハウスクリーニング。これらは「どこまでやれば満足してもらえるか」の線引きが難しく、些細なことでクレームになる。顧客対応に疲弊し、気づけば利益が吹き飛んでいる。

逆に、「木を切った」「草を刈った」「飾りつけが完了した」という仕事は、誰が見ても結果が明確だ。初心者こそ、こうした「完了=成功」の仕事だけを扱うべきだという。

考え方③:プロが「面倒くさい」と思う工程だけを引き受ける

どの業界にも、プロが「できればやりたくない」と思っている作業がある。たとえば植木屋にとっての「切り株の粉砕」、空調設備業者にとっての「室外機の高圧洗浄」、運送会社にとっての「再配達」だ。

これらは、彼らにとっては「手間の割に儲からない」作業だが、それを専門に請け負う業者がいれば、喜んで外注したいと思っている。

Chrisはこの「面倒くさい」だけを集めてビジネスにしている。これなら価格競争に巻き込まれず、むしろ「ありがとう」と言われながら利益を出せる。

第3章:考え方を具体的なビジネスに落とし込んだ3つの事例

上記の考え方を使って、Chrisが実際にどんな事業を立ち上げたのか。代表的な3つを紹介する。

事例①:ピザ屋台(初期投資:約7万円)

ホームセンターで購入した家庭用ピザ窯を軽トラックに積み、地元のホームセンターの駐車場で営業。店側と「うちに客を呼んでくれるなら場所代は無料でいい」と交渉し、固定費ゼロを実現。1日あたり約10万円を売り上げ、原価率は20%以下。移動販売車のような高額な設備投資は一切不要だ。

事例②:切り株粉砕の専門請負(初年度売上:約4,500万円)

植木屋が嫌がる「伐採後の切り株処理」だけを専門に請け負う事業。機材は購入せず、必要なときだけレンタル。植木屋にとっては「面倒な作業を丸投げできる」、Chrisにとっては「レンタル料だけ払えば高収益が得られる」という、双方にメリットがある仕組みだ。

事例③:玄関先の季節装飾(単価:8~20万円)

ダラス在住の女性が始めた事業で、Chrisが「最も再現性が高い」と絶賛するモデル。卸価格で仕入れたカボチャを、富裕層の玄関先に飾りつけるだけ。SNSとの相性が抜群で、施工前後の写真を投稿するだけで自然と集客できる。飾ったら終わりなので、クレームの余地がほとんどない。

第4章:日本でそのまま真似しようとするとぶつかる「3つの壁」

ここまで読んで、「面白いけど、それはアメリカだからできる話では?」と思った方もいるだろう。実際、僕もそう思った。上記の事例をそのまま日本に持ち込もうとすると、以下のような壁に激突する。

壁①:ピザ屋台と食品衛生法

日本では、たとえ露店であっても、食品衛生責任者の資格と保健所の営業許可が必須だ。講習は1日で取得できるが、許可なく駐車場でピザを焼いて売ることはできない。アメリカのような「とりあえず始めてみた」は通用しない。

壁②:切り株粉砕と産業廃棄物の処理費用

日本では、粉砕した木くずを「ゴミ」として処分する場合、産業廃棄物としての処理費用がかかる。1本あたり数千円のコストが利益を圧迫し、Chrisが享受したような高い利益率は望めない。

壁③:中古家電レンタルと古物営業法

ChrisはFacebookマーケットプレイスで無料入手した洗濯機を月額200ドルで貸し出す事業を紹介していた。しかし日本では、反復継続して中古品を扱う場合、古物商許可証(公安委員会発行)が必須となる。無許可で行えば刑事罰の対象だ。さらに、配送にかかる人件費とガソリン代を考えると、個人が1台ずつ運ぶモデルでは確実に赤字になる。

多くの人は、この段階で「やっぱり日本では無理だ」と諦めてしまう。しかし、Chrisの真髄はここから発揮される。

第5章:「儲からない」を「儲かる」に変える3ステップ

Chrisの思考法の核心は、「採算が合わない」という結果を、「このやり方ではダメだ」というフィードバックとして受け止めることにある。彼は、うまくいかないときに「撤退」ではなく「再設計」を選ぶ。

ここでは、先ほど「採算が合わない」と判断した日本の3事例に対し、Chrisの考え方を適用して、もう一度「儲かるパターン」を見つけ出すプロセスを実演してみる。

ステップ1:1件あたりの収支で「コストが漏れている箇所」を見つける

まず、ビジネスモデルのなかで、最もお金が溶けている工程を特定する。

  • ピザ屋台:移動販売車の購入費(250〜600万円)と固定店舗の賃料。
  • 切り株粉砕:粉砕した木くずの産廃処分費(1本あたり数千円)。
  • 中古家電レンタル:顧客宅までの配送コストと、回収にかかる人件費。

ステップ2:「なぜ自分がそれを抱え込むのか?」と問い直す

コストが漏れている箇所が見つかったら、次にこう問いかける。

「その工程は、本当に自分でやらなければならないのか?

  • ピザ屋台:「許可を取るのが面倒だから、みんな移動販売車に流れるのか? そうだ。だからこそ、許可を取ってしまえばライバルは激減する
  • 切り株粉砕:「なぜゴミとして捨てるのか? 粉砕したチップを、顧客の庭の保湿・雑草防止材として敷き詰めれば、処分費はゼロになるどころか、付加価値として単価アップも狙える」
  • 中古家電レンタル:「なぜ自分が運ぶのか? 配送と回収は地域の軽貨物運送事業者と業務委託契約を結べばいい。自分は在庫管理と修繕だけに専念する」

ステップ3:どうしても赤字になる工程は「宣伝費」と割り切る

それでも、どうしても赤字になる工程があるなら、それを新規顧客を呼び込むための広告費と考える。

たとえば、不用品回収業で「単価500円の電池1個だけの回収」は完全な赤字だ。しかし、それをきっかけに高齢者宅の遺品整理(単価30万円〜)の依頼が取れるなら、その500円は極めて優秀な広告費である。

Chrisがテキサスの人気ガソリンスタンド「Buc-ee’s」のグッズを無断で仕入れてネット販売した件も、最初の仕入れ約30万円は、メディアに取り上げられるための「話題づくり費用」だったと彼は語っている。

第6章:日本の現場で「儲かるパターン」に転換した3つの具体案

上記の3ステップを経て、実際にどのようなビジネスモデルが浮かび上がるのか。以下に整理した。

①「ピザ屋台」→ 道の駅×週末限定の出張ピザ職人

地域の道の駅産直市場と交渉し、共用の調理スペースの利用許可を得る。固定費はゼロ。「毎週土曜日だけ現れるピザ職人」としてSNSで情報発信すれば、地元メディアにも取り上げられやすい。許可を取っていることで、行政や施設側も安心して紹介してくれる。

採算性の試算:週1回の営業で日商10万円、月商40万円。原価率20%なら月の大まかな利益は32万円。これで本業とは別の収入源としては十分だ。

②「切り株粉砕」→ 粉砕チップを庭の保湿材として活用するサービス

粉砕した木くずを「ゴミ」として処分するのではなく、顧客の庭に敷き詰める「保湿・雑草防止サービス」として提供する。これにより産廃処分費がゼロになるだけでなく、「庭の手入れまでやってくれた」という付加価値で単価を15,000円→25,000円に引き上げられる。

採算性の試算:1日3件処理で日商75,000円。処分費ゼロ、人件費のみ。利益率は80%を超え、アメリカの事例にかなり近づく。

③「中古家電レンタル」→ 在庫管理に特化し、配送は丸ごと外注

自分は古物商許可を持った「在庫管理と修繕」の専門家になる。配送と回収は、地域の軽貨物運送事業者と業務委託契約を結ぶ。あるいは、外国人技能実習生向けの寮を運営する管理団体と組み、「寮の備品を一括して月額定額で管理する」契約を結び、配送は寮の管理人に任せる。

採算性の試算:自分は重いものを持たず、在庫リスクと修繕リスクのみを負う。労働集約型から、継続収入型の仕組みへの転換が可能になる。

第7章:スモールビジネスを始める前に知っておくべき日本の手続き

ここまで読んで、「よし、週末から動いてみよう」と思った方へ。日本で個人事業を始める際に、最低限必要な手続きをまとめておく。

開業届の提出

事業を始めたら、開業日から1ヶ月以内に所轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」(通称:開業届)を提出する。これが出ていないと、正式に事業を始めたことにならない。

青色申告承認申請書の提出

節税効果の高い青色申告を選択する場合は、開業届と同時に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する。これにより最大65万円の青色申告特別控除が受けられる。提出期限は、開業日が1月1日〜15日ならその年の3月15日まで、1月16日以降なら開業から2ヶ月以内だ。

業種別の許認可

  • 飲食業:食品衛生責任者資格(1日講習で取得可)+保健所の営業許可
  • 中古品売買:古物商許可証(管轄の警察署に申請、審査に約40日)
  • 軽貨物運送:黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業経営届)

結論:「できない理由」を「できる構造」に読み替える技術

Chris Koernerの教えを日本で活かすとは、「アメリカは自由でいいな」と羨むことではない。

それは、「この条件では儲からない」と結論づけた瞬間に、自分の思考が止まっていないかを点検することだ。

「儲からない」と感じたとき、そこには必ず「見えない前提」 が隠れている。

  • 「自分で運ばなければならない」(→誰かに運ばせればいい)
  • 「ゴミとして捨てなければならない」(→資源として活かせばいい)
  • 「許可を取らなければならない」(→許可を取っているからこそ信頼される)

この「前提」を一つずつ壊し、問いを一段上の階層に引き上げること。それこそが、彼の言う「制約は創造性の母」の本当の意味であり、24,000回の「NO」をくぐり抜けた男だけが持つ、再現可能な「儲かる仕組みを見つける技術」なのだ。

日本のスモールビジネス市場は、規制と商習慣に守られた、世界でも類を見ないほど分厚い「制約の壁」に囲まれている。それは一見、参入を阻む障壁に見える。しかし、この思考法を身につけた者にとって、その壁は誰にも真似できない、最も堅牢な防御壁へと姿を変える。

僕自身、この動画を見終わったあと、「自分にはできない理由」を探す癖が少し減った気がする。まずは、家にある不用品をメルカリで売ることから。小さな「できた」を積み上げていこうと思う。

参考資料

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この記事を書いた人

会社を早期退職したフリーランスです。副業はやってみたいけど、どんな副業があるのか?実際に稼げるのか?そんな疑問に答えます。

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