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「絶対に手を出すな」米国トップ投資家が警告。副業・スモールビジネスで“死ぬ確率”が高い7つの業種とは?

「副業 おすすめ」「スモールビジネス 儲かる」で検索すると、無数の情報が出てくる。しかし、「絶対にやるな」 という視点で語られることは驚くほど少ない。
今回、僕は投資家で事業買収の専門家であるCody Sanchezの動画「The 7 Worst Businesses to Buy Or Start」を視聴し、これまでの「何をやるか」という考え方が根本から覆された。彼女の主張は一貫している。「ビジネスとは確率のゲームだ。最初から失敗確率が高い土俵で戦うな」。
この記事では、動画で語られた「避けるべき7つの業種」を整理し、それぞれがなぜ危険なのかを自分の言葉でまとめる。さらに、それらの教訓を日本の商習慣や法規制に照らし合わせて、「日本ではどう考えるべきか」を徹底検証する。
第1章:「確率のゲーム」という考え方——Maryの悲劇が教えてくれること
Codyが動画の冒頭で紹介するのは、Maryという女性の痛ましい失敗談だ。
MaryはCodyのコミュニティメンバーで、初めて事業を買収した。選んだのは赤字経営のレストランフランチャイズ。しかも、一度も一緒に仕事をしたことのない相手と50対50の共同経営契約を結び、さらに未経験の運営責任者を雇い入れた。店舗は自宅から飛行機で3時間の距離にある。
結果はどうなったか。毎月の赤字、パートナーとの関係破綻、そして訴訟の危機。彼女は新米の母親で、赤ん坊の世話をしながら、100万円以上の損失を抱えることになった。
Codyはこの事例を通じて、一つの核心を突く。
「たとえ他の条件をすべて完璧に整えても、レストランという業種を選んだ時点で、彼女は負け戦に飛び込んでいた」
この考え方は、僕にとって大きな気づきだった。ビジネスの成否は、努力や才能だけで決まるのではない。最初の「業種選び」の段階で、すでに勝負の大半は決まっているのだ。
第2章:「絶対に避けるべき」7つの業種とその構造的な欠陥
Codyは動画内で、以下の7つの業種を「あなたの資金を殺すビジネス」として名指ししている。それぞれについて、彼女の主張と僕自身の理解をまとめる。
① 飲食店(レストラン)
- 失敗確率:アメリカでは開業1年以内に60%が閉店、4年以内に80%が閉店。
- 平均売却価格:約3,000万円(一般的な中小企業の平均が約1.2億円であるのに対し、極めて低い)。
- Codyの主張:「飲食店は、どうしてもやりたくて仕方ない人間だけがやるものだ。儲けるためのビジネスではない」。
僕自身、この数字には驚かされた。「料理が好きだから」「友人に美味いと言われるから」という理由で飲食店を始める人が後を絶たないが、それは趣味と事業を取り違えている。仕入れのロス、人件費の高騰、気まぐれな客足、そして何より常に現場に張り付かなければ回らない労働集約型の構造が、初心者の資金と精神を容赦なく削っていく。
② ホテル・宿泊施設
- 平均利益率:なんとマイナス15%。
- Codyの主張:「ホテルは事業ではない。不動産投資に過剰なオペレーションがくっついた化け物だ」。
この「マイナス15%」という数字は衝撃的だ。ではなぜホテルが存在し続けるのか? Codyによれば、それは減価償却や税務上の優遇措置を活用した「節税スキーム」として機能しているからだという。キャッシュフローで儲けるモデルではなく、不動産価値の上昇や税務メリットを狙う、全く別のゲームなのだ。
③ 実店舗の小売業(アパレル・雑貨店)
- 構造的な弱点:商品を売る前に仕入れ代金を全額支払う必要がある(買掛金による運転資金の余裕がない)。
- Codyの主張:「これは、暇でお金のある人が趣味でやるものであって、生計を立てるための手段ではない」。
僕がこの指摘で特に納得したのは、「売上ではなく、純利益と固定費のバランス」という視点だ。たとえ商品の粗利率が高くても、家賃や光熱費といった固定費をまかなうだけの「客数」を継続的に確保できなければ、毎月赤字が積み上がる。特に地方都市では、シャッター商店街がその現実を如実に物語っている。
④ コンサルティング会社
- 最大のリスク:「キーマンリスク(特定の個人に依存するリスク)」。
- Codyの主張:「コンサル会社は『事業』ではなく、『個人の仕事の集合体』に過ぎない」。
コンサルタント個人の知識や人脈、信頼が商品のすべてであるため、その人物が抜けた瞬間に会社の価値はゼロになる。Codyは「政府向けの長期契約がある場合」や「完全に仕組み化されたサービス」は例外としつつも、基本的には「買収する側」としては避けるべき対象だと断言する。
⑤ 個人ブランド(インフルエンサービジネス)
- 譲渡不可能性:顔と人格に紐づいたビジネスは、売却できない。
- Codyの主張:「顔を売ってビジネスをしたなら、その顔ごと売らない限り、買い手はつかない」。
これは近年のインフルエンサー経済の盲点を突いている。YouTubeチャンネルやオンラインサロンを「資産」だと思って育てても、それはあなた自身という無形資産に依存している。Codyは「肖像権ごと売る」という荒業を紹介しているが、それは同時に「自分の顔でいつまでも好き放題されるリスク」を受け入れることでもある。
⑥ Amazon FBA・転売ビジネス
- プラットフォームリスク:Amazonにアカウント停止された瞬間に死ぬ。
- Codyの主張:「Amazonはあなたのデータを分析し、売れ筋商品を自社ブランドで安く売り始める。敵は中国のコピー業者だけではない」。
僕はこの話に最も恐怖を覚えた。Codyによれば、競合による「偽の悪質レビュー」の大量投稿でアカウントが凍結され、在庫が動かなくなり、そのまま倒産した事例が実際にあるという。プラットフォームのルール変更一つで事業が消滅する脆弱性は、副業として取り組むにはリスクが大きすぎる。
⑦ クリーニング店(ドライクリーニング)
- 環境リスク:土壌汚染の浄化責任を負う可能性。
- Codyの主張:「洗濯代行業(ランドリー)は好きだが、ドライクリーニングは絶対に嫌いだ」。
これも日本ではあまり意識されていない視点だ。アメリカでは、ドライクリーニングで使用する化学溶剤が地中に漏れ出した場合、その土壌浄化費用が億単位になるケースがあるという。事業そのものの収益性とは無関係に、環境負荷という「非対称リスク」 を背負わされる点が、Codyが最も嫌うポイントだ。
第3章:日本での適用検証——この7つは日本でも「失敗パターン」なのか?
Codyの主張はアメリカの事例に基づいている。では、日本の商習慣や法規制において、これらの警告はどの程度有効なのか。僕なりに検証してみた。
① 飲食店:日本ではさらにシビア
日本の飲食店の廃業率は、アメリカと同様か、それ以上に厳しい。特に居酒屋や個人経営のラーメン店は、競合が多く原価率も高い。さらに日本の場合、食品衛生責任者の資格や防火管理者の選任義務など、開業前の手続きが煩雑だ。「趣味の延長」で始めるには、障壁が高すぎる。
日本版の教訓:どうしても飲食をやりたいなら、初期投資を極限まで抑えたキッチンカーか、間借り営業(シェアキッチン)から始めるのが鉄則だ。
② ホテル:日本の「民泊」ブームへの警告
日本では民泊新法の施行以降、個人でも宿泊施設を運営しやすくなった。しかし、Codyの「ホテルは節税スキーム」という指摘は、日本の減価償却制度を考えれば理解できる。民泊は「空き家活用」としては有効だが、「本業としての収益源」と考えるのは危険だ。特に地方の簡易宿所は、稼働率の変動が激しく、固定費(リネン交換・清掃費)が重くのしかかる。
③ 実店舗小売:地方の「夢の雑貨屋さん」が潰れる構造
地方都市で「セレクトショップ」や「ハンドメイド雑貨店」を開く女性は今も多い。しかし、Codyの言う「仕入れの先行投資」と「固定費の重圧」は、日本の商店街でも全く同じ構造で経営を圧迫する。楽天市場やBASEなどのECプラットフォームが普及した現在、わざわざ高い家賃を払って実店舗を構える意味を、徹底的に問い直す必要がある。
④ コンサルタント:日本の「士業」と「キーマンリスク」
日本では、社会保険労務士や中小企業診断士といった資格を持つ個人コンサルタントが多い。Codyの警告は、これらの士業事務所の事業承継(M&A)において極めて重要な視点だ。社長一人で回している会計事務所や社労士事務所は、買い手から見れば「顧客を奪われるリスク」しかない。事業として売却したいなら、若手スタッフの育成と属人化の排除が不可欠である。
⑤ 個人ブランド:日本のインフルエンサーの出口戦略
日本のYouTuberやInstagrammerが、自身のアカウントやブランドを売却する事例はまだ稀だ。しかし、Codyの指摘は本質を突いている。顔出ししないアノニマス(匿名)アカウントで情報発信するスタイルは、まさにこの「個人ブランド売却不可能問題」を回避するための戦略と言える。顔を売って影響力を得た瞬間、そのビジネスからの「卒業」は極めて難しくなる。
⑥ Amazon物販:日本でも「プラットフォームリスク」は現実
日本のAmazonにおいても、アカウント停止は日常茶飯事だ。特に「せどり」や「中国輸入」を教えるスクールが乱立しているが、Codyの言う通り、儲かっているのは「やり方」を教える側だけという構造は日本でも同じである。副業で手を出すには、アカウントが死んだときのリスクが大きすぎる。
⑦ クリーニング店:日本の土壌汚染リスク
日本では、クリーニング店の土壌汚染はアメリカほど大きく報道されないが、テトラクロロエチレンによる地下水汚染は国内でも問題になっている。特に、古い住宅街で長年営業していた店舗の跡地を購入する場合、土壌汚染対策法に基づく調査義務が生じるケースがある。物件を買い取って事業を始める場合、この見えない負債に注意が必要だ。
結論:「やらないことリスト」を持つ勇気
Cody Sanchezの動画から僕が学んだ最大の教訓は、「成功するビジネスを探すよりも、失敗する確率が高いビジネスを避けること」 の重要性だ。
起業や副業に憧れる人は、「何をやろうか」と前のめりになる。しかし、本当に賢い人は「絶対にやらないこと」を先に決める。Codyが紹介した7つの業種は、いずれも「一見魅力的に見えるが、構造的に勝ち目が薄い」という共通点を持つ。
日本には日本の商習慣や法規制があるが、「飲食店の原価率の高さ」「プラットフォームに依存する脆弱性」「個人に依存する属人化リスク」といった根本的な課題は、国境を越えて共通している。
僕自身、この動画を見終わったあと、「これをやろう」と考える前に、「これは絶対にやらない」と決めることから始めようと心に誓った。まずは、身の回りの「失敗しがちなビジネスモデル」を見極める目を養うこと。それこそが、スモールビジネスで生き残るための最初の一歩なのだ。
参考資料
- Cody Sanchez出演「The 7 Worst Businesses to Buy Or Start」Big Deal Podcast(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=nd0kWBNiirc - Cody Sanchez「Big Deal Podcast」公式サイト
https://www.codysanchez.com/podcast - 中小企業庁「飲食業の開業・廃業に関する統計」
https://www.chusho.meti.go.jp/ - 国税庁「減価償却資産の耐用年数表」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm - 環境省「土壌汚染対策法の概要」
https://www.env.go.jp/water/dojo/law.html
